大会長挨拶

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第21回日本ガンマナイフ学会学術総会
大会長 森 久恵(国立循環器病研究センター 脳神経外科)

 このたび、第21回日本ガンマナイフ学会学術総会を、2025年1月24日(金)、25日(土)の2日間、大阪淀屋橋オービックホールにて開催いたします。多くの先生方のご支援により、演題数は67演題と予想を大きく上回りました。JLGK単独開催としては過去最多の演題数となり、他領域の専門家との連携や若手人材の育成を通じ、ガンマナイフ学会の新たな局面への移行を示す意義深い会となることでしょう。皆様のご協力に心より感謝申し上げます。

 今回のテーマは “What is the Next Right Move?(Oprah Gail Winfrey)” としました。ガンマナイフ治療の進化において、今この瞬間に私たちが取るべき次の一手を絶えず問い続けることが求められています。このテーマのもと、皆様と共に深い議論を重ね、新たな治療戦略を探る場にしたいと考えています。

 本会の前身である第1回ガンマナイフ研究会は、1995年に越後湯沢で開催されました。2025年は30周年という大きな節目の年です。ガンマナイフ治療が脳神経外科医療に与えた影響の大きさと、その重みを改めて感じます。この30年の間に先人たちが築いた成果と課題を振り返る中で、私自身も次の一歩を踏み出し、今後の発展に貢献していきたいと考えております。

 1月24日(金)に転移性脳腫瘍治療の第一人者である中洲庸子先生(滋賀医科大学)に「転移性脳腫瘍の基礎と臨床」についてご講演いただきます。この30年で劇的に進化した転移性脳腫瘍の治療について、現状と今後の展望を詳しくお話しいただきます。

1月25日(土)には世界脳神経血管内治療連盟 (World Federation of Interventional Therapeutic Neuroradiology)の会長をつとめられた田中美千裕先生(亀田総合病院)に「Anatomical Consideration of Dural AVFs」と題し、ガンマナイフ治療医にも理解しやすい脳動静脈瘻の解剖についてご講演いただきます。ガンマナイフ治療のプランニングに直結する実践的な内容ですので、ぜひ多くの先生方にご聴講いただければと思います。

 さらに、COVID-19以降、しばらく途絶えていた海外からの講演も再開します。Wan-Yuo Guo先生(Taipei Veterans General Hospital)のご厚意により、「Implementation of Imaging AI in Radiosurgery and Beyond」をテーマに、AI技術の臨床応用について最新の知見をお届けいたします。前回の高知大会からさらに進化した内容を共有していただけることでしょう。

 今回はパネルディスカッション形式を採用し、以下の3つのテーマについて徹底的に議論を行います。

 ■転移性脳腫瘍(1月24日)
 ■硬膜動静脈瘻(1月25日)
 ■頭蓋底腫瘍(前庭神経鞘腫を含む)(1月25日)

 各テーマにおいて、What is the next Right Treatment? What is the next Right Plan? What is the next Right Move? を問いながら、複合的治療の未来を見据えた熱いディスカッションを行います。ガンマナイフ学会の黎明期に見られたような活気あふれる議論が展開されることを期待しています。

 また、従来の一般口演に加え、ポスターセッションを新設しました。これにより、参加者同士が近い距離で意見交換を行い、率直なディスカッションが交わされる場となることを期待しています。また、ガンマナイフ治療後のフォローアップを行っている施設も含め、より多くの参加者と活発な交流が図れるよう努めてまいります。

 今回の総会では、優秀演題にJLGK賞の復活を予定しています。この賞を通じて、多施設共同研究のさらなる発展が促され、新たな研究成果が生まれることを願っています。優れた研究を称え、次世代の研究者を奨励することで、ガンマナイフ治療の未来を共に切り拓いていきたいと考えています。

 2日間では足りないほどの濃密なプログラムとなりました。参加者一人ひとりが What is the Next Right Move? を考え、共有することで、ガンマナイフ治療のさらなる発展につなげていけると確信しております。ガンマナイフに携わる医師、メディカルスタッフ、そして紹介元の医師の皆様も、ぜひご参加いただき、最新の治療情報を共有し、共に次のステップを踏み出しましょう。

 本総会は現地開催のみとなります。直接顔を合わせ、活発な議論を通じて新たなアイデアやネットワークが生まれる場になることを心から願っています。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。

2024年11月