大会長挨拶

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第21回日本ガンマナイフ学会学術総会
大会長 森 久恵(国立循環器病研究センター 脳神経外科)

 第21回日本ガンマナイフ学会学術総会開催まで1年をきりました。2025年1月24日(金)、25日(土)の2日間、大阪淀屋橋オービックホールで開催させていただきます。ガンマナイフは脳神経外科医が扱う放射線治療機器です。本会は脳神経外科学会の中では規模の小さい学会ですが、その志、アクティビティは高く、ガンマナイフ治療にたずさわる医師が一堂に介する本会は私にとって楽しみな会です。
私がガンマナイフ治療にはじめて関わることになったのが2003年10月。それから22年後にこの歴史と伝統ある本会を担当させていただくことは大変名誉なことであり、関係各位の皆様に厚く御礼申し上げます。

 テーマは“What is the Next Right Move?”としました。Oprah Gail Winfrey (オプラ・ウィンフリー)米国のTVトーク番組の司会者の言葉です。今この瞬間に何ができるか、次の正しい一手は何か。立ち止まって考える。まさに、毎日の診療がこの言葉どおりであると思います。
 まずは治療適応。What is the next Right Treatment ? ガンマナイフ治療では良性疾患も対象にしています。治療介入の最適なタイミングはいつだろうか。摘出術では症状が出てきたらとすることが多いのですが、ガンマナイフでは摘出術のタイミングよりも少し早く、腫瘍が小さいうちに介入したい。そこにエビデンスはあるのか。開頭術や血管内治療との複合治療についても、ガンマナイフが先か、後か。など、議論は尽きません。
 次にプランニング。ターゲッティングはAIが一瞬で囲んでしまう時代が間近に迫っています。かつてひとつひとつショットを組み合わせて時間をかけて作り上げたプランニングも最新ソフトLightningがmanual planingでは及ばないショットを組み合わせて、risk organを避けて作り上げてきます。思うようなプランニングにならなかった時、われわれ治療医はWhat is the next Right Plan?と問う。AIの時代ならではの線量計画のコツを本大会で共有したいと思います。

 What is the next Right Move ? 治療効果、長期予後に関しての最新の知見はガンマナイフ治療施施設のみではなく、紹介元の脳神経外科、がん治療医など、さまざまな診療科が共有、フィードバックしていかなければならないことです。ガンマナイフ保有施設だけではなく、ガンマナイフ治療後のフォローアップを行なっている施設からも広く演題募集し、discussionの場を持ちたいと考えております。

他にも、マスク固定での寡分割照射が可能になったことで、ガンマナイフ適応も拡大しています。JLGKS多施設共同研究、次世代のガンマナイフ治療医の育成など、次から次に課題が思い浮かびます。参加者それぞれの What is the next Right Move?を持ち寄り、より良いガンマナイフ治療につながるような会をめざして準備を進めてまいります。

 国立循環器病研究センターは2019年に移転建替をし、JR岸辺駅が最寄り駅となりました。移転前の吹田市藤代台の病院のガンマナイフ室の壁には竹林と風船が描かれていました。とくに正面の竹林の壁紙は、大きな窓から裏の北摂の竹林を見ているようなそんな空間でした。風船と竹林、これは私が、ガンマナイフ治療のスタートを切った時の象徴とも言えるものであり、学術総会のポスターに入れたいと図案を描き、それをもとにポスター作成いたしました。色とりどりの風船は、2025年本邦のガンマナイフ施設数(予定含む)の51個です。大阪の風景、観光スポットも青空の下に散りばめていますので、探してみてください。

 全てのガンマナイフ施設、ガンマナイフに携わる医師・メディカルスタッフ、普段は紹介する側の医師にも会場に足を運んでいただき、ガンマナイフ治療に関する最新の情報を得ていただけるような学術総会になるよう、最善を尽くしてまいります。開催形態は現地開催のみとさせて頂きますので、何卒ご理解ご支援のほどお願い申し上げます。

2024年2月